「代行輸送依頼書をください」と頼んだけれど、「今は発行していません」と断られた経験、ありませんか?
大雪で足止めされ、タクシーも捕まらず、ただ待つしかないあの時間…。
正直、理不尽に感じますよね。
でも実は、代行輸送依頼書をもらえないのは駅員さんの対応が悪いからではなく、明確な制度上の理由があります。
「運転再開の見通しが立っている」「代行ルートが設定されていない」「安全確保を優先」など、 その裏にはきちんとした背景があります。
この記事では、なぜもらえないのか理由をわかりやすく整理してご紹介します。
代行輸送依頼書の仕組みや使い方の基本はこちらで解説してます!

代行輸送依頼書をもらえないのはなぜ?
ピョン子代行輸送依頼書をもらえないのは、実は冷たい対応でも怠慢でもなく、正当な理由があるんです。
- ①依頼書を発行できるのは「特定条件」のときだけ
- ②運転再開が見込まれる場合は対象外
- ③代行ルートが設定されていないと発行不可
- ④小規模駅や委託駅では手続きが難しい
- ⑤現場の混乱時は安全確保が優先される
ここでは、「なぜ発行されなかったのか?」を詳しく見ていきましょう。
①依頼書を発行できるのは「特定条件」のときだけ
まず大前提として、代行輸送依頼書はいつでももらえるものではありません。
鉄道会社が「運転再開の見通しが立たない」「代行手段を正式に手配した」と判断したときだけ発行されます。
つまり、鉄道会社の公式判断が出ていない段階では、駅員には発行権限がないのです。
たとえば、運転見合わせが発生しても「1時間以内に復旧見込みあり」となっていれば、 その間は依頼書が出ません。
②運転再開が見込まれる場合は対象外
次に多い理由が、「すぐに運転再開が見込まれている場合」です。
たとえば大雪や信号トラブルで一時的に止まったとしても、 数十分で再開できそうなら代行輸送は設定されません。
代行輸送は、バス会社やタクシー事業者との連携が必要で、すぐには動かせません。
「すぐ動くなら、むしろ待ってもらうほうが安全」というのが現場の判断です。
なので、「今は発行していません」と言われる背景には、 「できるだけ安全に、無駄な混乱を避けたい」という意図があるんです。
③代行ルートが設定されていないと発行不可
代行輸送依頼書が発行できない大きな理由のひとつが、 「代行ルートがそもそも設定されていない」ということ。
鉄道会社は、緊急時に備えて「○○駅〜○○駅間はバス代行を可能」と決めています。
しかし、すべての区間で協定があるわけではありません。
特に地方の路線や第三セクター鉄道では、 バス会社が少なく、そもそも代行ルートを確保できていないケースもあります。
そのため、駅員が「この区間は発行対象外です」と案内するのは、実は正しい対応なんです。
④小規模駅や委託駅では手続きが難しい
小さな駅や無人駅、委託駅では、そもそも代行輸送依頼書を発行する体制が整っていません。
駅員が常駐していない、あるいは駅の運営が外部委託されている場合、 発行権限が本社や管理駅にしかないです。
たとえば、地方の終着駅などでは「代行輸送を設定できても、紙の発行は隣の主要駅で」というケースもありえます。
つまり、駅で断られても、それは「できない」ではなく「別の駅で手続きが必要」という意味なんですね。
⑤現場の混乱時は安全確保が優先される
そしてもうひとつ大切な理由が、混乱時は安全確保を優先するという点。
大雪や台風、停電などの非常時には、駅員も指示・案内・誘導で手一杯になります。
数百人単位の人が殺到する中で、依頼書を一人ずつ発行するのは物理的に不可能なんです。
そのため、「今は発行できません」「安全を確保してから対応します」という案内になります。 これは手抜きではなく、まず人命を守るための判断。
落ち着いた後に、窓口やサポートセンターで対応してもらえることも多いですよ。
駅員が代行輸送依頼書を発行できない事情
駅員が代行輸送依頼書を発行できないとき、その背景には「制度」だけでなく、「現場の制約」もあります。
①駅員にも権限の範囲がある
実は、駅員は「どの場面でも自由に発行できる」わけではありません。
鉄道会社では、指令室(運行管理部門)から発行許可が降りない限り、 駅単独では依頼書を出せない仕組みになっています。
つまり、駅員が「出せません」と言うのは、 「命令系統の外では判断できない」というルールのもとに動いているということ。
②指令室の判断で発行が止まることもある
運転見合わせ時、最終判断を下すのは現場ではなく「指令室」です。
そして、指令が「復旧作業中」「ルート未定」と判断すれば、全国の関連駅すべてで発行が一時停止になります。
つまり、駅員が悪いわけではなく、上層部の判断によって全体が止まるケースも多いのです。
これが、駅ごとで対応に差が出る理由でもあります。
「A駅では出たのに、B駅ではもらえなかった」というのは、発行タイミングのズレなんですね。
③ICカード利用者は履歴確認が難しい
SuicaやICOCAなどICカード利用者が増えたことで、 「紙の切符がない=乗車経路がすぐに確認できない」という問題もあります。
基本的にICカードの場合、定期券なら目的地がわかるので良いですが、残高のみの場合は目的地がわからないため、代行輸送の適応がされません
不正利用を防ぐ意味でも、慎重な対応なんですね。
ICカード利用者は、後日「利用履歴印字」を駅で出してもらえば証明になります。
④無人駅・臨時対応では発行体制が整わない
地方や夜間など、駅に常駐スタッフがいないときには発行が難しいです。
また、大雪などで他駅の応援スタッフが入っている場合も、 印刷設備や権限が一時的に使えないことがあります。
このような場合は、後日最寄りの主要駅で発行してもらえることがほとんどです。
「もらえなかった=もう終わり」ではないので安心してください。
次にとるべき一歩(対処法編へ)
ここまで見てきたように、代行輸送依頼書をもらえないのは、 「冷たい対応」ではなく制度・現場・安全の三拍子が絡んだ結果です。
でも安心してください。
代行輸送依頼書がなくても、きちんと返金や証明を受ける方法はあります。
次回に続く

